Fab!-Music speaks.-私のマントラが乱れた(感想です)

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Fab!-Music speaks.-感想

 

Fab-ism

 

ザ・Hey!Say!JUMP、ザ・辻村ワールド。世界中の煌めきを集めた曲。辻村さんが「ありふれた世界なら君はいない」という言葉が先に出てきたとおっしゃるほど、このフレーズに全てが詰まってる。キミがいるからこの世界は特別!であると同時に、こういうご時世だから誰もがこの世界にとって意味のある存在だと気付かせてくれる。「土砂降り 雨の中で思い出した どさくさに紛れて流す涙 忘れちゃいけないあの日の記憶」という歌詞も好き。そんな過去は忘れてしまおう!ではなく忘れちゃいけないと言ってくれるのが、ネガティブな過去も君を作り上げた大切な要素だよって言ってくれてるみたいで救われませんか?

 

狼青年

 

覆面でYoutubeで突如現れてからだいぶ時が経ったけど未だに飽きない。14年目にしてこんなパフォーマンスを見せられるのかと腰抜かした。女王蜂の世界観に限りなく染まりながら自分たちの個性も限りなく出したこれからのJUMPにとってターニングポイントと言っても過言ではない曲ではないかな。不気味で残酷でそれでいて切ない二人の愛の物語。この物語が好きな理由は絶対的な正義と悪が存在せずに、結末が幸か不幸かが聴き手の解釈に委ねられているから。メイ・ウエストの名言「いい子は天国に行ける。でも悪い子はどこへでも行ける」を思い出す。この2人の幸せへの逃避行はどこにでも行けるんだろうなと。

 

千夜一夜

 

PVの主人公が書いていた紙上の物語に迷い込み二次元の世界が三次元になったように、紙上に書かれた歌詞がJUMPが歌うことにより三次元になる魔法をかけたように感じる抽象的で異次元な世界観。「言葉が今手繰り寄せた」が最後に「言葉が今未来になる」になっているのが好き。今まで集めた言葉が未来を創っていくって真理だなぁと思います。

 

Jazzy Cut

 

ダークホースだった。試聴時はそこまでインパクトは無かったのにフルで聴くとめっちゃカッコいい選手権優勝でした。ブレーメンの音楽隊がモチーフの曲だけど、歌詞はちょっと陰があり、生きる希望を無くしていた仲間たちが偶然出会い、音楽を通して魂を共鳴させているような物語を感じる。いのたかの声が映える曲。Puppy Boo, Jealous guyもそうだけどJUMPとジャズテイストの曲の相性良くないです?

 

Snow White

 

アヴちゃんがJUMPのことを「君を守るよ」という言葉に意味を持たせるプロだとおっしゃっていたけど、まさにそういう歌。だけど”苦しみから連れ出してあげる”ではなく「逃げてこられるかい 僕のいる所まで」と相手に主体性を持たせるところが現代版プリンセスストーリーという感じます。余談だけど、西洋の童話って女の子が主人公の物語が多くてそんな時代から意志を持つ主人公になれていたことに文化の違いを感じますね。

 

Liar

 

なんか色が違うぞ。岡崎体育さんのサブカルみに溢れたユーモア溢れる一曲。アイドルの虚像を物語っているような曲をゴリゴリのアイドル(裕翔くん曰く崇められるアイドル)が歌うから面白い。中盤で「今だけは I can tell the turuth to me  愛してる 本当は羊のように弱い僕を」と歌うのが最高。虚勢を張っているのを自覚し”今だけは真実を言える、自分に” なのが笑える。めっちゃオモロイのにちょっと切なくて自分にも思い当たる節があったり、なかなか深いな曲だなと思います。

 

MANTRA

 

出ました!自担様の推し曲!!あかん・・・もう知念のマントラが乱れてるよにしか聴こえんがな。全然分からんけど、知念先生曰くサイケトランスという類らしい。。サウンドも歌詞も攻めた曲で陰キャの私にはレベルが高いけど、知念くんの推し曲ということで1日何回も聴いてたら好きになってた。サブリミナル効果抜群です。何よりアルバムに収録されてよかったよ、じゃなきゃ自担様がJUMPやめるとこだった。イケカッコいい曲。

 

Puppet

 

好き勝手言われたり、未来を背負わせられたり、幸福の投影をされたり、勝手に理想のアイドル像を作られるアイドルが「操り人形 自分の意思で」と歌うの深いですね。早口部分は数人で分けるつもりだったけど、一人でやったほうがカッコいいという知念くんの提案により今の形に。自担様のセンス天才すぎない?マジでカッコいいのは顔だけにして欲しい勘弁してくれ。歌詞もサウンドもすごく好き。私の推し曲。

 

Kiss Your Lips

 

薮くんと山田くんの歌声はこういうセンチメンタルでメランコリックな世界観によく合うよなぁ。プリンセスストーリーに出てくる王子様はラストシーンで簡単に愛を手に入れられる前提で出てくるけど、この王子様はちゃんと悩んだり葛藤を抱えながら相手を愛おしく思ってるところ人間味があって好きです。知念くんのCast a spellの歌い方も切なさ満載。

 

御伽と知る世界

 

すーぐアイドルとオタクの関係性の歌を探すオタクだけど、今年で言うとLove me PLZ, ヒカリサス, そして御伽と知る世界がそれっぽいかな〜と思います。「迷う闇の中 君で満たしたら 明るく見えるのはどうして?」なんてまさにアイドルのことじゃないですか?でも光くんが本当に大事なことは2番にあると言ってて「煤けたお菓子も 頰が落ちるほど 甘く感じるのはどうして? 喉を枯らすくらい泣いたから?もしかして君といるから?違いはないな」もギュッとなっちゃうんだよな。明るい曲調なのにどこか切なくて”幸福の定義”とは?という壮大なテーマが存在してるような深い曲だなと思います。

 

ナイモノネダリ

 

JUMPの歌の上手さ、多人数だから奏でられるハーモニーの美しさが如実に出てましたね。橋口さんの「ナイモノネダリというタイトルがついている以上、答えは出ているので前を向くのは最後だけでいい」という言葉がこの歌のテーマだと思います。恋愛も人生も悩んだり後悔したりするけど最後に幸せだと思えれば大丈夫だよと肯定してもらえる曲。歌中の結婚の捉え方でオタクたちが論議していたのも興味深かったけど、時代時代で多様な価値観を反映するのがアイドルの歌だと思うのでとても文化的で、それも含めて素敵な歌だと思いました。

 

Last Forever

 

Hey!Say!JUMPの骨頂ソング。シンデレラ城のバックで花火が打ち上がってる絵が見える、私には見えるぞ。知念担にはエモワードである「Shall we dance?」が知念くんのユニゾンパートに充てられていて何度も聴いてしまう。アイドルとファンの関係性は有限であるからこそLast Foreverと歌って夢を見させてくれるのが美しいなと思います。

 

闇の先へ僕らは歩き出す

 

「桜が舞ったら 花火になって落ちる秋雨 雪へと変わった」絵的にも文章的にもひとつに繋がる表現、知念くんの低く優しい声も相まり情緒的で美しい。自担様の表現力ホントにさぁ〜。サビの「闇にのまれそうな夢を見たら すぐ側で光になり君を導くよ その涙に色をつけて描く 7色に輝く虹は空を駆けて 明日へと繋いだ」は虹ができるメカニズムと同じ(太陽光が雨粒で跳ね返り虹ができる)なので「君の涙に僕が光を射して君の世界を色付けるよ」というふうに自己解釈しました。ボーナストラックにしたことに意味がある曲だと思います。

 

 Fab!が特別なアルバムになったのはJUMPもファンもこの物語の一片だからだと思います。子供の頃に読んだ童話を大人になった今もずっと覚えていて自分の人生を形作ったように、Fab!も私の人生の大切な1ページになりました。Hey!Say!JUMP様、素敵な物語を紡いでくれてありがとう。

 

 

それではここでシンデレラガール争奪戦勝者を発表します

8月31日

MUSIC DAY公式から今年もシャッフルメドレーがあるとのお知らせ。大野くんが休止前の最後の出演になるMD、さとちねユニットを望む知念担。偉大な先輩方が沢山いらっしゃるので難しいだろうとは思いながらも言うのはタダなのでね。

 
9月5日
メドレー曲発表。私の目に最初に入ったのは「愛のかたまり」。度々ツイートしているが2番の歌詞が知念くんそのものなのだ。
 

 
大好きな曲、知念くんがお家ちねんでエア披露したのもとても良かったのでこれは歌って欲しい。あと「こんな好きな人に出会う季節二度とない」芸人なのでラブソーでもいいなと思っていた。そう、シンデレラガールは無いと思っていた。全ジャニオタの怨念に近い熱量を孕んだシンデレラガール争奪戦に自担は参戦しないだろうと最初から外していた。
 
9月11日
発表はリアタイしてなかったので知念担の友達のツイートで一報を知る。シ、シ、シ、しんだがなガール。えぇ〜~っ!!!!!!全ジャニオタが自担に歌ってほしい曲ナンバーワンのあのシンデレラガール!?!?全ジャニオタが「割と門限厳しいってそんなのわかってるって〜」って自担に言って欲しいあのシンデレラガール!?!?知念くんって本当にオモロい人だなぁ。今まで自分の人生の面白さは自分で探し出してきて、やりたいこと全部やったからもう満足だなと思い始めた頃に出会った自担。日々こんなに面白さを与えてくれる人がいるんだなと改めて好きになってしまった(ノロケ)
 
9月12日
心を整えて待機。してたらちょっ待てよ(木村先輩リスペクト)、CM前にちょろっと映った知念くんのビジュが髪色が髪型が・・・こっちはシンデレラガールに備えてメンタルを何とか保たせようとしているのに始まる前から体調悪くなりそうなんだが???こうやって毎日驚かされて毎日恋に落とされるんだが?
 
 
そしてやってきたシンデレラガール。世界の恋人道明寺松本潤、キスブサで幾多のキュンを輩出してきた玉森裕太、爆モテと書いて菊池風磨、というジャニーズ王子様枠の布陣に加わる我らが知念侑李・・・無理です、知念先輩無理です。松本潤くんの背後に映る白い王子様衣装を着た知念くんの佇まいがもう王子様のそれで。開始3秒でこれは無理なヤツだと悟った。踊る知念くんを見て私の前世がシンデレラだったことを思い出した。
魂が指先まで宿る繊細さ、感情を響かせる表現力、マジで勘弁してくださいよ知念先輩。顔が良いのとダンスが上手いのは全人類が知ってることだけど歌声まで美しくて気付いたら水力発電できるほど泣いていた。存在感があるジャニーズの方ばかりだから、知念くんはいつものように脇役に徹して静かにパフォーマンスをするのだろうと思っていたのにめっちゃ爪痕残しやがったなこんにゃろ。いや決して存在をアピールしていない、寧ろ調和を一番に大切にしたいつもながらのスタンス。野球大会や紅白の時のようにただ自分が楽しむことで周りに幸せを派生させられる人。
ツイッターには他G担さんや非オタの方からの絶賛の声が沢山上がっていて私の鼻がブラジルまで伸びてしまい回収するのが大変だった。
 
王子様なんかいなくても自分の幸せは自分の力で掴める時代だし、結婚というシステムにも懐疑的なのに、この3日間はご飯食べるか呼吸するか「王子様と結婚してぇ〜〜」(概念)しか言ってないから今も魔法は解けてないようだ。
 
「シンデレラ」で12時を過ぎて馬車やドレスは元に戻ったのに、ガラスの靴はそのままだったのは魔法がかけられていない本物の靴だったからだとか。アイドルは”魔法”という幻想だとしてもアイドルを見てときめいて、背中を押してもらって、自分の人生を頑張ろうと思える気持ちがずっと消えないのは、アイドルがファンに与えてくれるものが本物だからなんだろう。
 
あとどれくらい知念くんのことを好きでいるのか見当もつかないけど、ファンでなくなったとしてもあの日のシンデレラガールの知念くんのこと一生忘れないだろう。本当に素敵だったな。自分の発言に責任を持ちたくないので知念くんを永遠に好きだなんて言えないけど、知念侑李が私が好きになる最初で最後のアイドルなるんだろうなとは確信してるので決して坂本くんのカッコ良さエグくね?とか思ってなんかいません。おわり。
 
 
 

PARADE本編を観た高揚感で書いたものなど

「僕たちの提示したコンセプトが見てくれる人にハマらない場合もあるからリスクは感じた。でも無難なものを作って埋もれるより、誰かには嫌われるかもしれないけど、誰かの心には確実に残るライブを届けたかった」
 
 
普段控えめな彼の言葉が一番攻めていて、パンフレットを読んだ瞬間に胸がギュッとなったんだよなぁ。知念くんの言葉を借りるならば「誰かの心には確実に残るライブ」の「誰か」のカテゴリーに私は確実に入った。
簡単にコンサートに行ける環境にいないので回数的にはそんなに行けてもないけど、今までのコンサートで一番心に刺さったコンサートだったと思う。
 
 
コンセプチュアルでマジカルな世界観、どの断片を切り取っても余すことなく煌めいていて、
どの一瞬を思い出してもトキメキが止まらない。
ユニットが無かったりで初日のツイッターには否定的な意見も散見されたが、回数を重ねるごとに
ファンを納得させていったJUMPのパフォーマンスは圧巻だった。
 
昨年末のちねじゃん、スペインでサッカーを観たことになぞらえて「観てるファンにも役割がある」と言ってくれたことを今も宝物のように大切にしている。知念くんにとってコンサートは一方的にパフォーマンスを提供する場ではなく、ファンと一緒に創り上げるものなんだなと。ファンの立場を一方通行にしない、全方位の思いを掬い取ってくれるアイドルのファンで世界一幸せなのだ(すぐノロケるので話が脱線するぜ)
 
知念くんについて言えば、ぷぅの衣装や「可愛くてごめんね」の振り切った可愛さから、Entertainmentや獣と薔薇でのゴリッゴリにカッコいい姿、スタタイやLast Danceでは深みのある表現力で聴かせ、布フライングでは天女の羽衣と錯覚するような夢と現実の狭間に迷い込ませたり、1秒の隙も無い完璧なるエンターテイメント。瞬きするのも惜しいくらいだった。
 
ーありえないくらいで丁度いい とびっきりの魔法をかけて僕らまた旅に出るんだ
完璧にはなれやしなくて 迷って悩んで躓いた時にこの景色を一緒に思い出そうよー
 
PARADEは魔法にかけられた世界だった。アナザースカイで風間くんがディズニーのことを
「魔法をかけた人たちがいるというのが一番感動する。魔法で世界ができた訳ではなく、魔法をかけた人たちの努力だったり意思みたいなもの。その人たちの努力をことを魔法というんだと思う」
と仰ったけど、まさにこのステージを作り上げたJUMPとスタッフの方々の覚悟で形作られた魔法にかけられたんだと思う。
魔法は解けてしまったけれど、迷って悩んで躓いた時にJUMPと一緒に見た景色を思い出している。
 
 
アイドルとは生き方だなぁと思う。その生き方を感じてファンは日々力を貰うという生命の連鎖。
幸せの涙も胸を焦がすような切ない涙も、こんなに沢山の感情が溢れてくるのはHey!Say!JUMPだけ。大好きです!!
 

7ヶ月遅れのロードショー「坂道のアポロン」

坂道のアポロン」の感想はとてもツイートで収まらないだろうと

ブログに書くことは決めていたのだけど、いざ書こうとすると言葉が出てこない。
言葉を失うくらいに感情がフルになってしまった。
 
纏められないので、個人的な要点別に綴ってみた。
 
*眼鏡
知念くんは普段眼鏡をかけていないのに、眼鏡を外す度にドキッとしてしまう。
海に入るとき、キスをする時、涙を拭く時。
眼鏡って鎧なのか、外す度に素の部分が見えそうでそう思うのかもしれない。
薫が眼鏡をかけていない設定だったら、そこに物語は生まれなかったかもしれない。
 
*雨
知念くんの属性って雨だと思っているので、雨を背景に映る知念くんの美しさよ。
千太郎との出会い。天気雨の中、上級生と喧嘩をする千太郎を見つめる薫の
眼鏡に溜まる雨の雫。拭き除くことも忘れるくらいに千太郎から目を離せない薫の表情。
 
雨が降りしきる神社でのキスシーン。
感情が抑えきれずに、律子の気持ちさえ無視して強引にキスする薫。
このキスシーンの何がいいって、想いが叶った幸福のキスではないところですよ(声高)
口癖のように言ってるけど「報われない恋」がこんなにも似合うアイドルが他にいるかな。
片想い、雨、神社。今まで観たどんな映画のキスシーンより一番切なく、儚く、美しかった。
 
*ピアノ
この映像が見たくて私はずっと坂道にアポロンが観たかったんだなぁと涙が溢れた。
テクニック的なことは言うまでもないけど、感動したのは演奏に感情が現れるとこと。
前のめりになりながら気持ちを音に乗せてたり、寂しさを埋めるように静かにピアノに気持ちを委ねていたり。
知念くんの静の演技がすごく好き。
 
 
*薫と千太郎
出会いの時にシーツをめくった薫を見ての千太郎の言葉「迎えにきてくださったとですか」
教会でシーツをめくった薫を見ての千太郎の言葉「天使様のお出ましか」
 
最近すごく感銘を受けたツイートがあるのだけど(映画とは関係なしのツイート)
「独りぼっちの夜に震える心を抱きしめてくれる存在に出会ったら、その相手はそれだけで救われたものに
とっては神様です。ずっとずっと光です」
 
孤独を抱えていた薫も千太郎もお互いが神のような「救い」だったんだろうなと。
監督が薫と千太郎のラブストーリーだと仰っていたけど本当にそう思えた。
ラブストーリーって恋愛感情だけではなく、あらゆる形の「絆」に充てることができる言葉なのだなぁと。
 
*対比
教会と神社、
喧嘩をする千太郎の胸にかかる非暴力の象徴のロザリオ、
「暴力なんて意味がない」と言う淳兄が関わる学生運動
1人での忌々しい上り坂と2人で駆ける下り坂。
小さなコントラストが面白いと思った。
 
 
纏めると言いながら纏まらない感想になってしまったけど、一言でいえば
知念くんの主演映画が「坂道のアポロン」でよかった!
繊細で穏やかで切なくて。
小柄な知念くんに不調和な広い背中、どれだけのものを背負ったのだろう。
ラストでピアノを弾く知念くんの背中はもっと大きく力強く見えた。
 
『When I’m feeling sad
I simply remember my favourite things
And then I don’t feel so bad
 
悲しいときは
好きなものを思い出してみる
そうすれば悲しくなくなるの』
 
 
沢山ある私の好きなものリストに加わった「坂道のアポロン
 
悲しいときは
坂道のアポロン」を思い出してみる
そうすれば悲しくなくなるの

世界でただひとりの君の代わりはいないよ

よく「推しのことで病むならそれは趣味の範疇を超えているから辞めた方がいい」というツイートを見かけるけれど、私にとってのオタ活は痛みを伴うことも多く、コンサートのために発つ前日にも負の感情に苛まれる出来事が起こった。

激しく降る雨。
履きなれない靴。
靴擦れに滲みる痛み。

複雑な思いを抱えながら迎えた当日。

2年ぶりのコンサート。
コンサートに来るたびに思う。コンサート会場はアイドルとファンと愛と平和で成り立つ理想郷だ。

照明が変わり、一瞬の静寂の後の熱狂。
決してステージに近い席ではなかったけど、そんなこと瑣末でしかない。もしかしたらもう戻ってこれないかもしれないと毎回思うこの場所にどんなに恋い焦がれたことか。

ザ・アイドルの称号を欲しいままにステージで歌って踊る知念くんは私の希望そのもの。
エルビス・コステロのSHEの一節「キミは私の夢を映す鏡のよう」その言葉を体現してくれる。
「夢」や「希望」と言うと抽象的になってしまうけれど、「アイドル」という言葉も同じく抽象的だ。

そして何度聴いたかわからないあの曲のイントロが流れる。
薮くんのノスタルジックな歌声と共に現れた美しきアイドル。
会場の全ての光を反射する、こんなにも澄んだ白色見たことあっただろうか。

知念くんが空に浮かぶ何かを掴んだ振りをした瞬間、私の心も掴まれた。
そこからの記憶はあまり無い。
楽しんできてと励ましてくれた友達に「焼き付けてくる」って約束したのに、涙が止まらなくて霞んで見えなかった。落涙していることを周りに悟られないように、手で押さえていた唇が尋常ではないほど震えていたことだけは鮮明に覚えている。
負の感情ではなく正の感情で泣いたのは久しぶりだった。

ケンティーのバレエの先生がおっしゃった言葉
「客席にいるとその人の命が削れてキラキラしたものが見える。自分自身を全部かけて命の削れた破片がキラキラ飛んでいく」
知念くんは命を削っていた。言葉にはならないほど強く美しいのにすごく胸が痛んだのは、命を削る痛みを感じ取ったからだろうか。

一度見られただけで恵まれているのに、何回だって踊る姿を見たいし、何回だって心を揺さぶられたいと思ってしまう。でも一度きりだったからこそ、この初めての感情と感動は永遠に変わらない。

ある裕翔担さんがアイドルに対する感情は恋愛感情でも友情でも家族愛でもない特別な感情とおっしゃってていたけど、どのカテゴリーにも属さない特別な感情の宛先が知念侑李であることを誇りに思ったコンサートだった。

「世界でただひとりの 君の代わりはいないよ」
世界中探しても知念くん以上のアイドルはいないよ。